ジブリ最新作「君たちはどう生きるか」を初日に観てきた

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

午前中に。日付が変わった瞬間公式がお漏らしした「米津玄師」と「菅田将暉」以外、内容に関して情報をガチで、一切、全く持たずに臨みました。ここまで情報なく映画を観たのは初めてです。この映画を観たいというより、そうゆう状態で映画を観てみたいという気持ちで行きました。


ホントに公式が公開当日まで情報を一切出さなかったので何書いても大小なにかしらのネタバレになると思います。なのであまりネタバレ気にせず書きます。


率直な感想

観劇直後のつぶやき

はい。内容は展開が非常に上下する作品だったんですが、スクリーンから出た直後のテンションはこんな感じ。グリッドマンユニバースの時とはダンチですね。オチとエンドロールで煙に巻かれた感は若干あります。

で、ちょっと落ち着いて自分がこの作品を説明するとしたら

「宮崎駿氏のポートフォリオ的作品」 ジャンルはSF?ホラー

でしょうか。

詳細な感想は後述しますが、まぁまぁ楽しめました。もう1回くらいは観たい。しかし実際の内容に関わらず、初日組は特にですが、この作品にどれくらいの期待をしていたかで評価が変わると思います。
自分はかなり低めに見積もって行きました。いきなり駿が実写で出てきて2時間説教で終わる可能性すら考えていました。そうでなくともただただ説教臭いメッセージ性つよつよ作品、終わってみればキービジュアルの鳥も出てこないとか、そんなことも考えていました。

実際のところはジジイが上から説教するようなものではなく、「自分はこうしてきた」ということを優しく、不気味にエンタメ性を足して見せてきた、と感じました。

ちなみに一緒に観に行った嫁の評価はかなり低かったです。

自分のジブリ履修度

そんな内容なので今作は「ジブリ」や「宮崎駿」の背景をどれくらい知ってるかでも感じ方は大きく変わると思います。まず、自分はジブリ大好きとか詳しいとかでは全くありません。そこらのアニオタを自称してない人より観てないと思う。宮崎駿個人についてもネットで流れてくる真偽不明の情報くらいしかありません。

  • 「千ちひ」以前:「海がきこえる」「山田くん」は観てない
  • 「千ちひ」以後:「ゲド」と「ポニョ」しか観てない。ハウルは劇場行かず。TVで挑戦するもいつも中盤までに寝落ちしてしまってもう今後観る気もない
  • 一番好きなのは「ナウシカ」か「ラピュタ」で迷うタイプ。原作漫画読んでからナウシカが一番になった。紅豚も良いよね。

冒険活劇以外はピンとこないタイプですね。それでも「もののけ姫」以前の作品はどれも好きと言えるんですが、千ちひで「あー、もう自分はジブリと合わなくなったんだな」ってなって観なくなりました。ゲドとポニョは酷いと騒がれてるのを冷やかしで観に行きました。ゲドはつまんなかったけどジブリってこんなもんじゃね?って感じ。
ポニョは個人的にぶっちぎりのワースト作品。酷すぎて怒りゲージ爆上がりしました。今思い出してもムカつく作品。ジブリ関係なくワースト3に余裕で入る。ここでジブリは卒業。

じゃあ何で今作を見に行ったかというと、冒頭に書いた通り、ここまで情報遮断して見に行ける作品は恐らく無いのでそういったエンタメ性重視で。更にそれを最も活かすには初日初回が最高だから。
そして、やっぱり腐っても宮崎駿。良い方にも悪い方にもトンデモないもの出してくるんじゃないかという興味。仮にクソ映画だったとしても上述のエンタメ性でチャラかなという保険。
あと公開直前のTwitter大喜利で興味ゲージ上がったのに乗せられたってのもデカかったですね。

情報遮断の効果ですが、幕間の宣伝が終わって映画泥棒とか施設の避難情報とかも終わって、始まるホントのホントにぎりぎりまで内容どころかどんな絵が出てくるかすら分からない状態(ここまで来ても実写駿登場の可能性を捨てきれなかった)ってのは想像以上に頭がグワァーっとなる感覚がありました。
「期待と不安」みたいな言葉は違いますね。なんか、異世界に迷い込むってこうゆうことかな?みたいな感じでした。1stカットが目に入ってくるまでの一瞬に味わえる感覚。恐らくもう二度と味わえないでしょう。

内容を交えての感想

ここからは内容に触れつつ書いていきます。

結局主人公もヒロインもジブリのいつものキャラでした。舞台は日本(今のとこ名言はされていない)。内容は前半が現実世界(じゃない可能性もアリ)で後半はファンタジー世界に迷い込んでいきそこから脱出する話になります。
現実世界は大戦中の疎開生活。後半はジブリ過去作セルフオマージュのラッシュ。ジブリもマルチバース始めたのか?ってくらい。

ジャンルをSF?ホラーとしましたが終始不気味で気持ち悪い、死臭が漂ってるんですよね。疎開先で怪しい建物に導かれる流れも完全にホラー作品のセオリー。摩訶不思議な事象後に主人公の意識が飛ぶのも何度も見た流れ。墓と産屋が同じ建造物なのも良い。異世界のギミックはSF。主人公と若い後妻と親父以外はメイドのジブリBBAが6人くらい?と雑用担当のジジイで、実写ホラー作品として撮影したらかなり良いビジュアルの作品になりそうでした。

で、開幕主人公のお母さんが亡くなりその妹が後妻になるんですが、この後妻と親父がノリノリなのがとても気持ち悪いです。特に後妻側。時代的に慣習っぽさもありますが、まー、気持ち悪い。後妻はすでに身籠っている設定もホラー映画っぽい。
前半視聴中はこの後ファンタジー展開になることなどもちろん分からないので、この現実の気持ち悪さを2時間続けられたらきっついなぁと思ってました。

しかしキービジュアルにあるアオサギが実は()人外の者で、後妻は怪しい建物に消えてしまうしでなんやかんやあってアオサギと一緒に後妻を助けに異世界を冒険する展開になります。
この異世界での事象が歴代ジブリ作品のセルフオマージュでつくられています。めちゃくちゃ分かりやすいです。ポニョの大波と水の世界。紅の豚の死者が列を成す様子。もののけ姫のコダマやタタリ神、強い女性。ナウシカの腐海と蟲。ラピュタの天空城。前述の通り自分はジブリ作品詳しいわけではないので通な人ならより多く、細かく気付けると思います。

観終わってから感じたことですが、この支離滅裂で整合性も取れない世界は宮崎駿が「君たちはどう生きる?」と問うために「自分はこうしてきた」と語ってるパートのように感じました。

異世界で主人公が後妻を「お母さん」呼びで助け出そうとするシーンがあるのですが、この時の「お母さん」のセリフに感情が全然入って無くて凄く良いです。声優さんが下手なわけではありません。このシーンに来るまで主人公が後妻を母親と認識したくなるような出来事が無いからです。しかし主人公は敢えて「お母さん」と呼びかける。(この女、お母さんて呼んでやらないと動かなそうだな)っていう、後妻がめんどくさい女だってことを主人公が分かってるという描写が震えます。この親子関係の描き方もホラーっぽい。
かと言ってホントの母親との描写がしっかりしているかというとそんなことはなくて、複雑に表現したせいでこっちの感情が迷子になってしまった感があります。

終盤は怒涛の風呂敷たたみからの即米津戦法で謎の感動を覚えそうになりますが?マークに阻害されます。素直に感動できるかどうかは人によるところでしょうが、「あれ?良い話…だった の か??」となりました。

人物では主人公が若き日の駿、異世界の主的な大叔父が今の駿というのは分かりやすい。周りのキャラクターも誰かに見立てた時、なんだかんだあったが相棒として去っていったアオサギが高畑勲氏で、めちゃくちゃにしてぶっ壊したが図々しく居座っているインコ大王が鈴木敏夫なのかなぁと。
そうなると息子の吾朗は?後妻が生んだ異母弟だろうか。彼は別に希望ある存在としては全く描かれていない。ぬぼーっとしたアホ面を1秒ほど晒したシーンしかない。期待もされていない。吾朗…生きてて辛そうだな。
終盤からオチ、作品全体を上手くまとめているなぁと思ったつぶやきがこちら

凄くないですか?ほんこれです。

結局どうだった?

率直な感想のところでも書きましたが、今回は全く情報が無かったので事前にハードルの高さをどう設定したかで公開直後の評価は分かれると思います。自分もワンチャンもう一度ナウシカやラピュタのような作品が観れるのではないだろうかと期待しなかったわけではありませんが、かなり低く設定していたので映画館の料金分、元はとったと思えるくらいは良かったと思います。つくりはホラー映画なのでオチやギミックを知った上でもう一度確認してみたいですね。

しかしこうやって思い返して考察したり他の方の感想を見てみると(おそらく)今の駿モチーフの大叔父の哀愁がね。上のつぶやきがホントに的確で…。カミナリオヤジに怒られると思って身構えてたらおっちゃんがもう弱ってて優しく諭されるだけだったみたいな。「勝手にせぇ!!」って爆発する気もないような。自分はもうジブリ新作を観ることないだろうと思ってはいたものの、引導渡された感じがします。

しばらくは逆張りやこれを良いと言えない奴カコ悪い、言えるオレカコイイみたいな評価が跋扈するでしょう。初日完全初見した自分としては「まぁまぁ」で締めたいと思います。

追伸

今作のジブリ飯クッソ不味そう

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

SNSでもご購読できます。

コメントを残す

*